6月一杯、一ヶ月ほど沖縄の石垣島、西表島に滞在していた僕は岐阜県郡上市に帰ってきてから、どこかに心が行ってしまい(多分、西表島においてきたまま。)もぬけの殻になってしまっていた。7月の初旬なのにもう、夏が終わったようだった。
それがなんか嫌だった。あの最高の沖縄の一ヶ月がどうも体験したのかどうか。というか、過去になったのでなんの実感もなく、全くいま、現在の自分に影響しない事に悲しかった。
でも、人生を今を左右するのは自分でしか無い。そんな事はわかっていた。
なので夏を取り戻すために、近所の長良川をパックラフトで下る事にした。あの西表島での冒険を取り戻したかった。
結果的にそれ以上くらいの興奮と経験が得られた。
長滝の道の駅から出発して家の前の白鳥二日町の堰堤までをコースにする。きっとほとんど誰も下った事の無いコースだろう。なんせ長良川の上流域、浅いところが多い。一人乗りのカヤックでも底当たりがおおいだろう。まさにパックラフトでしか行け無いのだ。
そしてかなりテンションがあがった。波に負けて転覆もした。
そんな初のパックラフト長良川ソロツアーを写真で見ていきます。
ここがスタートした長滝道の駅。河原に降りやすい。ここから4キロの未知の冒険が始まる。この時もうすでに、失った僕の夏が復活していた。
ボートをパンパンに膨らまし長滝道の駅の河原をスタートする。
初めて現れるちょっとした瀬に気分があがった。小さいパックラフトでは迫力があり、かなり揺れる。ちなみに僕はラフティングガイド経験者。大きなラフティングボートよりもミクロの世界に突入する。とことんいろんな波と付き合える。
波も流れも無いところでオカリナを取り出す。オカリナパックラフト。これかなり気持ちよかった。
曲・ゲド戦記テルーの唄が谷間に響く。
このコースにおいて最大で最強、最悪な人による経済の事のみで作った悪意ある難所。僕の優雅なパックラフトクルージングを妨げる。
人は本当に何て事をしてしまうんだろう。時間があればなんでもしてしまう。魚だけでは無い、遊びたい人間にも不親切だ。
どうやって下るか思案する。ていうか、もう歩いているから歩いて降りればいいのだけれど。
いっちょ行ってみる事にした。
パックラフトはズルズルとひきづるがスピードが止まら無い。やはり岩により蛇行する流れが川のスピードを打ち消し一定の流れを保つ。それが自然の川。災害も防ぐのに一役買っている。
それにしてもパックラフトが破れなくてよかった。
どんどん下っていく。鮎の釣り師の方も数人いたが竿をどけて、温かく見守ってくれた。
つるっとした一枚岩の瀬のスポットは流れが集まり高い波ができる。ここが最高の遊び場になる。
そんな白波の立つスポットが長く続くとかなり不安。何しろ初めて下るんだ。多分、たくさんの経験がある人なら何ともないコースなのだろう。
勿論ひっくり返ってしまう事もある。すぐに脇を歩いて登りリトライしたがまたやられた。パックラフトはとても軽く大きく膨らみとても浮くので、少しの風で向きが変わってしまうほど。なので波にすぐ負ける。難しい。
瀬を無事クリアすると凄い安心感につつまれる。何しろ初めて下る所だ。
途中に何箇所も飛び込みスポットがあった。いま、長良川の水はそこまで冷たくなく気持ちよかった。雨が全然降らず気温も高いので水が冷えて無いんだろう。
のこり少しを引き続き下る。
近所の川なので、いつも脇の道路を通っているしいつも見ていた長良川だけど、雰囲気と風景でもかなり楽しめた。
とにかく人がいない。横を見上げると高く固めらたコンクリートの上を車は走っていたりするが。
でも僕の身の回りは鳥と魚だけが通行している道に人が一人で通る。不安と緊張があるのけど、癒されました。
兎に角、この四キロのパックラフト冒険で気づいたのは、遊べば夏が戻ってくる事。ただのその瞬間瞬間の気分だったということ。
遊ぼう。できれば誰もしないかなぁというのがいい。
すこしリスクがあるくらいがいい。でも本当にすこしのリスク。あぁなんか、西表島でなくても近所で素晴らしい冒険ができて救われた。