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トニーそばのおやじに誘われ夜の船つり


石垣島にきて四日目。くたくたになっていた。

それはその日、パックラフトで海に出るもまったく釣れず。パドリングと竿を振るので腕もだるい。パックラフトはとても軽いので水面に浮かべるともろに風の影響を受けるから海にでると風でどんどん流される。

釣れれば気分も晴れて疲れも飛んでいただろうに、疲れとは気分も半分だ。そんな気分で夜に入ったそば屋のトニーそば。

ブルーの建物に手書きの様々な文句が書かれた看板はかなり周りから浮いている。最近の手書きの文句と思われるものは「2020年 TOKYO OLIMPIC」

ブルーの壁に白のペンで直で描かれている。

もう疲れていてとにかく何か食べたかったのと、トニーそば300円の看板に軽い気持ちで入った。

そして、今晩、ここのおやじと夜の石垣島の海に舟釣りに行く事になった。誰彼構わず誘っていそうなトニーおやじ。それでも僕にはありがたかった。

トニーそば店主

石垣島に来た目的はほとんど釣りだ。石垣島にきて二日目にゴマフエダイまたはマングローブジャックと呼ばれる40近い魚を釣れて以来、まったく魚が釣れていなかったのでこのおやじからのまさかの誘いには期待が持てた。

夜11時半にトニーそばの店の前で集合。仕事をかたずけたトニーと船を車につなげ出発。

ボート

行き先は石垣島の市街地からそう遠くない10分ほどで着く唐人墓の灯台の裏の海岸。サンゴの岩だらけの為、ルアー釣りをする君にはいいのじゃないか?という事で。

そういうトニーは針にイカの切り身をつけて投げて放置する釣りしかしないらしく、サンゴの岩に毎回根掛かり。まったく釣りならないのをわかっていながら、ここに釣れてきてくれた。しかも船が流されないように係留する為の大きなブイを三月三日の大潮でとんでもなく水位が下がる時にしっかり設置したという。

砂浜から100メートルは離れているいま、釣りをしているここも、その日は余裕で歩いてこれるのだと。

トニーは根掛かりを続け、その度に竿をぐいぐいとしゃくり根掛かりを解こうとする為に小さな湖用のプラスチックボートはぐわんぐわん揺れた。ほかにも、モーター式のスクリュウーを船尾に付けたり、ブイに係留する時などにトニーは船の揺れに慣れているためグワングワン揺れてもかなり傾いても気にしなかった。

正直怖かった。夜の海にボートでひっくり返るのは最悪だ。

トニーが右に寄ると僕は左に動いた。

そんな慣れない夜の小型ボート釣り、しかも数時間前に初対面のおっちゃんと。

この徹夜の釣りはまったくルアーにアタリもなく、トニーの餌ぶっこみ釣りもまったく機能しなくて、完全敗北だった。トニーはしっかり岩のない砂地の場所も理解していながら、ボートをそこに固定するためのイカリを船に繋げないままドボンと投げ入れてしまったのだ。船は潮の流れに自在に移動してしまったのだ。

夜の海

でもトニーは夜の星と朝日が綺麗なんだという。それなんだ。と。

ボートの上で小便をしながら。。

朝日を拝んで、落としたイカリを少し探しみつからないのですぐに帰った。

また明後日は違うところにつれっていってやるよ。また明後日な!

といってくれたトニー。

トニーは今回、僕用のカッパも、ヘッドライトもその予備のライトも、餌釣り用の仕掛けも、お茶も準備してれた。かなりいい人だった。でももう、

僕は行かなかった。

あの揺れが怖かった。そして小便が臭かった。。

またなトニー。そばはとても普通のそばだったけど、腹が減りすぎていたから美味しかったですよ。

朝の海

小さい船で陸に帰る。

石垣での釣りはまだ続く。

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